【CDレビュー】Walls Of Jericho/Helloween【全曲コメント】

こんにちは。
神矢翔( @kamiya_S25)です。
 

 

Walls of Jericho

Walls of Jericho

 

 

 

本作は15曲に及ぶ大作だが、1つのアルバムではなく3つの作品を一つにまとめたアルバムである。

内訳は以下の通り。

1-5   Helloween(1985年 ミニアルバム)

6-14 Walls Of Jericho(1985年 1stアルバム)

15    Judas(1986年 1stシングル)

 

カイ・ハンセンがボーカルを執っていた初期Helloweenの楽曲がまとめて楽しめるお得な一枚。

カイのボーカルは今もそうだが、この当時はかなり荒々しく危なっかしい。

「魔女のような歌声」と表現されるようこともあるようだが、魔女の歌声がよくわからないので、正直あまりピンとこない。

ところどころにメロディメーカーの素養は見られるものの、この後のHelloweenのようなキャッチーさ全開といった感じではない。

ジャンル分けするならば、メロディックスラッシュメタルといった楽曲が並ぶ。
現代で考えると相当荒々しいプレイも目立つし、音質も良くないが、Helloweenの伝説はここから始まったのだ。

全部で15曲あるので少し長くなるが、1曲ごとに見ていきたい。

 

Helloween(1982年 ミニアルバム)

1.Starlight

冒頭部分はちょっとした小芝居から入り、ロンドン橋落ちたのメロディが展開される。

カイの絶叫が切り込んできて曲のスタートである。

カイの歌唱には賛否両論あるが、鬼気迫る歌唱がこの曲には合っていると思う。
スラッシュメタル的な荒々しいリフと、カイの荒いハイトーンが組み合わさり、この頃のHelloweenの典型的な楽曲となっている。
間奏でのギターの2音単位のフレーズなどは、今に通ずるHelloweenのシグネイチャーフレーズと言えるだろう。
メタル的だけどもキャッチーなサビ、ツインリードのソロなどやはり非凡なメロディセンスだ。

カイお得意の「アーライ!」のシャウトは、この時から既に始まっているのだ。

 

2.Murderer

イントロで楽器が一つずつ重なっていくアレンジが面白い。

Bメロでダークな展開を見せ、掛け声を含むサビも引き続きダークだが、 裏のギターは要注目。
短めのギターソロは弾きまくり 。
ツインギター部分は同じ調子で続くので、少し単調に感じるところもあるが、その後展開し、メロディアスなフレーズを歌い上げる。

 

3.Warrior

スラッシュメタル的なリフ、そしてそこに乗る独特なギターメロディ。

少しコミカルな要素を持つのがHelloweenの個性の一つだが、このメロディもその一つだろう。

 サビのメロディは、Judas Priestの「Starbreaker」に似ているのではないか。 

サビ後のギターとユニゾンするボーカルパートも中々カッコいい。
ギターソロは正統派なロックスタイルだ。

 

 

4.Victim Of Fate

Iron Maidenを思わせるようなギターから始まる。
ボーカルもどこかIron Maiden的だ。
Bメロで落ち着かせ、サビはメロディアスだがスリリングに攻める。
間奏もギターでリードしていく感じ。
ゴリゴリのメタルナンバーかと思いきや、一旦大人しくなり、セリフも入るというドラマチックな展開を見せる。
泣きのギターソロから突如として速いツインになだれ込む。

歌が終わった後の、延々とタッピング連発のギターのパートは面白いが少し蛇足感もある。

その後はアーミングで荒々しく締める。
ラストのカイのハイトーンが心地よい。


5.Cry For Freedom

メロウなアルペジオからスタートする。

UFOのDoctor Doctorと似ているように感じる。
歌い上げるボーカル、泣きのギターを堪能できる。

バラードかと思ったら一転激しくなるハードロックナンバー。

力強いサビは合唱できる。
ギターは怪しげなフレーズを弾きまくり、ツインで盛り上げていく。

この曲の聴きどころは圧倒的にギターだと思う。

 

Walls Of Jericho(1985年 1stアルバム)

 

6.Walls Of Jericho

ロンドン橋落ちたのメロディを用いた全体のイントロダクション的な短めなインスト曲。

 

7.Ride The Sky

前曲から続けて突入する、実質的な1曲目。

個人的には本アルバムで一番好きな曲。

まぁ、僕だけじゃなく皆さん大好きな曲でしょう。

その証拠に現在でも頻繁に演奏されている。
サビは皆さんご一緒に「ライザスカイ」!
ザクザクと刻みまくるリフはスラッシュメタル
カイハンセンのハイトーンシャウトはギリギリ感があり、こういうところがメタルのカッコいいところだと思う。

初期の傑作の一つ。

 

8.Reptile

ニゾンメロディ
Bメロの歌うベースは要注目。

マーカスが良い仕事をしているベースがよく目立つ曲。

コミカルな歌詞で色物と見られがちで、悪くはないがアルバムの中では地味な曲。
コールアンドレスポンスもカッコいいんだけど。
ギターソロはロックテイストで弾きまくり。
最後のハミングのパートは賛否が分かれるところだ。

 

9.Guardians

この曲もベースがよく目立っている。

サビは飛翔系のメロディで、このアルバムでは一番メロディック・スピードメタル的ではないだろうか。

ヴァイキーが作曲なのだが、いかにもなキャッチーさ。

この後のHelloweenのキャッチーさに繋がるメロディだと思う。
間奏でズッズクズッズクという正にメタルというリズムが出てくる。
ギターソロも歌い上げていて素晴らしい。

 

10.Phantoms Of Death

LAメタル的なリフを持つ曲で、2本のギターの絡みが面白い。
Aメロシンセがいい味を出している。

Helloweenでは珍しいタイプの曲。
サビは掛け声が目立つが少し弱いように感じる。
Helloweenの楽曲では意外と少ない、ネオクラ的なキメを聴くことができる。

 

11.Metal Invaders

疾走感のあるスラッシュメタルという感じ。

とにかくリフがカッコいい。
Bメロの神秘的・宇宙的なメロディが新感覚。

この曲も「アーライ!」が聞ける。
 

12.Gorgar

冒頭から思いっきり、METALLICAのRIDE THE LIGHTNING。

ミドルテンポのどっしりとしたナンバー。

サビはバックコーラスがコミカル。
間奏のどこかで聞いたことあるメロディは「山の魔王の宮殿にて」からの引用。

 

13.Heavy Metal Is The Law

ライヴテイクと見せかけて、曲の最初と最後に客の声が入っているだけで、曲自体はスタジオテイクのようだ。
速いツーバス、速いリフ、タイトル通りヘヴィメタルそのもの。
サビは少し不思議なメロディだがメロディアスだ。
コールアンドレスポンス

 

14.How Many Tears

七分を超える長尺だが今でも演奏される人気曲だ。
激しく入って、ドラマチックに展開していく。

激しい部分でも哀愁漂うメロディが美しい。
サビの途中で上がるところがエモい感じ。
スローになってからは、ツインギターで静かなメロディを奏でる。

 このアルバムでは、7.Ride The Skyとこの曲が特に聴くべき曲だと思う。

Helloweenの歴史を見るうえでも。

 

Judas(1986年 1stシングル)

15.Judas

4人編成での最後の音源。

カイが歌う最後の楽曲だけあって、シャウトが素晴らしく正にカイのための楽曲。

叩きつけるような勢いの中に、キャッチーなメロディ。

タイトル通り、AメロがJudas Priestの「 BREAKING THE LAW」に似ている。

少しサビメロは弱いと思うが、その後間奏でのツインギターはこれぞHelloweenと言った様子。

 

全曲コメントしてみました。

曲数も多いから結構しんどかった(笑)

良い曲ばっかりなので、ぜひ聴いてみてください。

Helloweenのレビューはどんどんやっていくつもりです。

では、また!