配偶者の悪口

SNS上で配偶者の悪口を目にする機会は多い。
そういう界隈(例えば子育てアカ、夫婦関係アカ)にいなくても、いくらでも流れてくる。
皆さんも一度は見たことがあると思う。
「ああ、ああいう投稿のことね。」と感じてくれると思う。
「配偶者」というのは正確ではなくて、実際にはほとんどが「夫」の悪口である。
この手の悪口を見て、皆さんはどう思うだろうか。
俺は率直に気持ち悪いと思う。
具体的に何が気持ち悪いと感じるのだろうか。
 
マイナスな発言は単純に気分が下がるというのもあるのだが、一番気持ち悪いと思うのは男女の非対称性だと思う。
SNSに転がる配偶者の悪口のほとんどは、夫への悪口で、妻への悪口はほとんど見ない。 
これは夫がダメで妻は素晴らしいから、夫しか悪口を書かれないということではなくて、女が気軽に悪口を書きすぎているのだと思う。
普通の神経をしていたら、身内の悪口を全世界に向けて公開しない。
仮にも、自分が配偶者に選んだ人である。
そんな人に対する悪口をネットを通して全世界に向けて発信する。
これは明らかに自分の価値をも貶めている。
それに自分はそんな悪口を人に言えるほど素晴らしい人間なのかと自問自答することはないのだろうか。
自分のことは棚に上げて、よくもこんなことが書けるものだと驚く。
何故妻だけが夫の悪口を書くのだろうか。
これには承認欲求が関係しているのではないかと思う。
男女問わず配偶者に対して、愚痴の一つや二つ溢したくなることはあるだろう。
いくら愛情があっても、他人と同居しているのだからこれは当然である。
「全く不満はありません」というのも、それはそれで嘘っぽい。
愚痴くらいだったら誰もが感じるものなのだが、そこから悪口に発展してしまうのは何故だろうか。
しかも女性だけ。
それは、女性の発言は女性が共感してくれるからではないか。
男は妻の悪口をネットに書き込んだところで誰も反応してくれない。
しかし、夫への悪口に対しては同胞の共感がたくさんついてくる。
「女性は共感を求める」という手垢が付いたステレオタイプな言葉を今更使いたくはないが、そうやって共感してくれるお仲間がいるから、悲しきモンスターが生まれるのだと思う。
全く生産性もなく、自分の価値も下げる配偶者への悪口を平気で全世界に発信する行為。
何のメリットもなく、普通に考えたらやるはずがない。
しかし、「共感」してもらえるとやってしまう。
そしてもっと共感を集めたいから、発言はどんどん過激になっていく。
つくづく、承認欲求とは恐ろしいものである。
ひと昔前だったら、所謂井戸端会議での愚痴として発散されていたのかもしれない。
井戸端会議であれば対面であるし、ご近所なので夫の顔も知られているので、そこまで先鋭化しなくても済む。
ネットへの悪口の垂れ流しは、顔も見えず、実際の知り合いではないので、内容がどんどん過激になっていく。
そして、どんどん自分の価値を下げていく。
夫の悪口を投稿する悲しきモンスターは、ある意味ネット社会の被害者であると言えるかもしれない。
 
今日も過激な夫への悪口がネット上に垂れ流される。
同じ界隈で反応しあっているだけで、何も生まない行為が繰り返される。