そもそもこの本を知ったきっかけは、『大田舎・東京 都バスから見つけた日本』を読んでいたら、ブックリストに載っていたから。
元々、湾岸地区の無機質な感じが好きだったこともあったので読むことにした。
日本には約6800の島があるが、これはすべて自然にできた島、自然島である。
一般的には自然島のみを島と言うが、筆者は人工島も島であると考える。
そして、東京湾には人工島がとても多く、なんと70余りもある。
改めて東京湾の地図を見てみると、島だらけなのがよくわかると思う。
地球の動きで勝手に現れる自然の島とは異なり、人工島は当然人間が必要としたから作られた。
一つ一つの島に作られた理由がある。
島の数だ作られた理由があり、島の数だけドラマがある。
そこには人間の営みが感じられる。
この本はそういったドラマを感じることができる本だ。
徳川家康が江戸に入城したとき、江戸は見渡す限り湿地帯だったという。
しかし、家康の命で利根川の流れを大きく変え、利根川の河口だった江戸が、田が開かれ人が住める土地になったのだ。
このように、江戸という都市自体が極めて人工的な都市である。
そしてゴミを中心に遠浅の海を埋め立てていった。
江戸・東京は埋め立てとともに発展してきたのだ。
人工島の歴史は東京の歴史でもある。
もう東京湾には新たな埋立地を作るスペースは残されていないという。
また、3.11をきっかけに豊洲は地盤沈下を懸念する声もある。
そのような問題をどうやって解決し、埋立地が今後どうなっていくのか非常に興味深い。
本書は、特に東京に住んでいる人は身近な場所がたくさん出てきて、面白く読める本だと思う。
人工島の歴史は東京の歴史でもあると考えると、本書は東京の歴史書だ。
埋立地の中には企業の所有で立ち入りができない場所もあるが、公共交通機関で簡単に行くことができる場所もかなりある。
興味がある人は足を運んでみてはいかがだろうか。
では、また。