【書籍レビュー】なるべく働きたくない人のためのお金の話/大原扁理【書評】

こんにちは。
神矢翔( @kamiya_S25)です。
 
今日は書籍レビューです。
なるべく働きたくない人のためのお金の話

なるべく働きたくない人のためのお金の話

 

 

二十五歳から六年間、週二日働き、年収百万円以下で「隠居生活」を送っていたという筆者のお話。

年収百万円を単純に12月で割ると、ひと月に8万円少々。

筆者が住んでいた国分寺市生活保護費は、20代、一人暮らし、障害等なし、賃貸で、

生活扶助基準額 77940円

住宅扶助基準額 53700円

合わせて、131640円。
 
↓※このサイトで調べました。
 
収入は生活保護費の6割程度。
(しかも、生活保護は医療費無料だったり色々と優遇されているから、金額以上に差は大きいはず)
 
生活保護でギリギリ「健康で文化的な最低限度の生活」が送れるのだとすると、この収入だと確実に「健康で文化的な最低限度の生活」は達成できない。
 
だが、この本で描かれている生活は十分に「健康」だし「文化的」である。
早起きをして、自炊をして、本を読んだり、運動したり、散歩したり。
筆者はこの生活に満足している。
 
筆者より収入があっても、 嫌な仕事に追われる生活に全然満足していない人もいるだろう。
 
大切なのは、自分にとって何が幸せなのかをよく考えること。
それが一般的な価値観と違っても全然構わない。
でも一般的な価値観から外れることはとても難しい。
我々は社会の中で生きているので、否が応でも 他人の目に晒されることになる。
でも、筆者はこう言っている。
P.57 社会や他人の「いいね!」を求めない
 他人がどうこうではないのだ。
とにかく自分がどう考えるか。
 
筆者は隠居生活を推奨しているわけではない。
大切なこととして、以下のように言っている。
P.86 自分の生き方を正しいと思わない
 
生き方は正しい間違っているではない。
隠居生活もあれば、たくさんお金を稼いで都心のタワーマンションで優雅に暮らす生活もある。
その人がどう思うかだけで、正解も不正解もない。
自分が良いと思うことを選択するのが、「自由になる」ということなんだと思う。
自分に合っていないのに隠居生活をしようとするのは、全く自由ではない。
 
少し気になるのが税金のこと。
この年収だと、所得税、住民税、年金が免除。
消費税は払うにしても、ほとんど税金を納めていない。
筆者は図書館を多用したりと公共サービスは享受しているので、税金を納めずにサービスにただ乗りともいえる。
当然ながら、こういう人が増えると世の中は成り立たない。
まぁ、かなりの高所得者ではないと納めた税金の金額より、享受する公共サービスの方が多いのだけど、程度の問題はある。
 
あと年金の話だと、国民年金は満額もらえても月額64,942円。
この生活の場合は当然満額はもらえない。
若くて健康で収入があるからこそ成り立っている生活だから、働けなくなれば最低限の金額も稼げなくなって生活保護一直線。
三十年以上先のことは誰にもわからないけれども。
 
こういう生き方をすると、結婚することや子どもはを持つということは難しいだろう。
よほど価値観が合う人と結婚すれば大丈夫かもしれないけれど、結婚すると人生に関わる人が自分の意志とは関係なく多くなる。
一般的にはそれはメリットなんだけれど、隠居生活はなるべく人との関わりを減らして、自分に正直になるからこそ成立する生き方。
この生活で結婚して、それでも同じ生活が続けられるかは難しいところ。
 
 
嫌なことを続けなくても生きるのが楽になる本。
実際にこの生活に飛び込める人は一握りだと思うが、知らない世界を知れるという意味でもおススメする本。
 
 
そういえば、高知のハンチング先生も元々はこういう考え方してたと思うんだよね。

 こちらの本で。

年収150万円で僕らは自由に生きていく (星海社新書)

年収150万円で僕らは自由に生きていく (星海社新書)

 

 

では、また。